平成27年度 校内研究

今年度の研究主題

  

「生き生きと学び、確かな学力を身につける児童の育成」
     〜 「書く」活動を取り入れた学習活動を通して 〜

研究主題の設定理由 (1)学校教育目標の具現化から
 本校では,「かしこく やさしく たくましい 小淵の子」を教育目標に掲げ,目指す児童像として,「自尊感情の高い子」を設定し,「進んで学び 自分を高めようとする子」「思いやりの心をもち 素直で明るい子」「心身を鍛え ねばり強くやりぬく子」の育成を目指している。そのためには,本年度の指導重点項目の中の「かしこく(確かな学び)」のための「授業の充実,基礎的・基本的な知識及び技能の習得・定着,言語活動の充実,家庭学習の形成」などがなされたときに具現化されるものと考えている。
 各教科等の指導において,言語活動を図ることにより,言語に対する関心や理解,能力を身につけることによって,子どもの思考力,判断力,表現力等の能力を育成することを目指す。こうした授業実践を繰り返すことによって,目指す児童像の具現化,ひいては学校教育目標の具現化がなされるものと考える。

(2)昨年度までの研究から
 本校では,平成19年度から3年間山梨県教育委員会の「確かな学力ステップアップ事業」の実践検証校の指定を受けていた。「確かな学力ステップアップ事業」は,「基礎学力向上やまなしプラン(H14〜H16)」「学びの意欲向上推進事業(H17〜H18)」を継承するものであり,「全国学力・学習状況調査を始めとする客観的なデータに基づいて児童生徒の学力や学習の状況を把握し,その改善に向けての具体的な対策を通して,すべての児童生徒の確かな学力の定着と向上を図ること」を目的としていた。その研究の内容・方法は次の通りである。@自校の全国学力・学習状況調査結果を分析して傾向及び課題を把握し, 検証改善委員会作成の『結果改善のための手引き』等を参考に,「授業改善プラン」を策定する。A「授業改善プラン」に基づいた授業実践を行い,プランの効果を検証する。B検証を基にプランに検討を加え,修正すべきは修正した上で,授業実践を行う。C「AB」を繰り返し,検証改善サイクルを確立する。つまり,「学力向上を目的としたPDCAサイクルの導入」という研究手法である。19年度・20年度・21年度ともに,「全国学力・学習状況調査」のデータ受け取り後,直ちに結果を分析し,本校の傾向(成果及び課題)を把握して,「授業改善プラン」を作成した。これらのプランを,随時,授業で実践し,その有用性を検証して改善点を探りつつ,検証改善サイクルを確立してきた。そして,平成21年6月26日に公開研究発表会を開催,研究の成果を発表し,研究指定校の役目を果たした。
 平成23年度からは国語科に絞り,三年間の実践を積んできた。今までの研究を継続・発展させ,効果的な言語活動を取り入れた授業実践を中心に研究を進めた。学力テスト等から「授業改善プラン」を作成することに固執せず,学力テストやアンケート・授業観察やスモールテストなど多面的に児童の実態を把握するとともに,それらを基に,より効果的な言語活動を取り入れた授業を求めて研究することが必要であることがわかってきた。また,基礎的基本的な知識・技能を活用し,お互いの考えを交流する「学び合いの場」を通して,自分の考えを見つめ直し,さらに深めたり広げたりする授業を実践していくことが,児童の論理的思考力を高めることにつながってきた。さらに,児童一人ひとりの目標やねらいの達成状況を見取るための評価についても研究を継続してきた。国語科において自分の考えを文章に書き表したり,友達に伝えたりすることによって,言語能力の向上を図る授業の創造を図ってきた。そうした授業を意識して仕組んでいくことで,書くことへの抵抗がなくなってきた児童や,自分の考えを人に伝えることで思考が深まっていく姿を目の当たりにすることができたことは大きな成果であった。同時に,国語科での力を他教科においても培っていくことの必要性を感じてきた。
 昨年度は,記録,要約,説明,討論など各教科の特性に基づいた言語活動の充実を図るとともに,基礎的・基本的な知識・技能を活用することで思考力・判断力・表現力等を育んでいくことをめざしてきた。具体的には,国語科に限らず,各教科においての基礎的・基本的な知識・技能の習得と,より効果的な言語活動を取り入れた授業の創造を探る研究に取り組んできたところである。
 また,二年間のNIE実践指定校を受け,授業の中で新聞活用をすることにより,児童の思考力・判断力・表現力等を育むための手段として,授業の中で効果的に取り入れようと確認し実践の一歩を踏み出している。

(3)児童の実態から
 本校児童は総じて素直であり,授業や宿題に地道に取り組む姿勢が身についている。また各種学力調査の結果から,ほぼ全国・県平均の学力を有しているといえる。しかし一方,一定時間,集中して話を聞いたり学習を進めたりすることのできない子どもがみられ,「がまんしてやりぬく」「集中して取り組む」態度の育成は喫緊の課題といえる。
 確かな学力を身につけるためには,これら学習に向かう態度についての課題解決は不可欠である。そのために,学習意欲を促す日常の授業での意図的な働きかけや,自分の意見や考えをどうしても表現したくなるような学び合いの場面を取り入れた授業実践を積み重ねていくことが必要であろう。
本校児童に身につけさせたい力は何かという課題を常に意識し,教職員が意見交換しながら,児童の実態に即した研究・授業実践を進めていく必要がある。
 昨年度の本校児童の実態から,根拠をもって自分の考えや感想を表現することが苦手であったり,友だちと考えを伝え合うことに消極的であったりする子どもが多いということが挙げられた。「自分の考えを表現する」ためには,読み取りや話を聞いて「理解」すること,自分の意見や感情,情報などを相手に「伝達」をすること,新たな考えや情報などを「生産」すること,保存性のある「記録」をすることの言語活動が必要となる。つまり,「話す」「聞く」「書く」「読む」ことの四つの学習活動が不可欠となる。昨年度まで継続をしてきたペア学習やグループ学習から学級へ広げる活動の学び合いや,伝達手段としてのホワイトボードの効果的な利用もこの中の一つのツールである。
 今年度はさまざまな言語活動の中の一つの要素である「書く」活動に焦点を当てていく。子ども自身の学びや思考過程を明らかにしていくために必要な「書く」活動を進んで取り入れることで,自分の考えを様々な形で表現するとともに,今まで蓄積してきた学び合いの場面を取り入れながら互いの考えを交流し合い,自分の考えを広げたり深めたりしていく授業形態の構築を図っていきたいと考える。具体的には,授業の記録として板書や教科書等をノートに視写する書く活動,自分の考えをノートやワークシートなどに書く活動など,発達段階に応じた「書く」活動を意識していくことにより,児童が主体的に学び,考え,発信する学習活動を取り入れていく。それは,児童の主体的な学びや,確かな学力を養う手だてとなり得ると考える。
NIEの活用も言語活動の一つであり,児童の思考力,判断力,表現力等を培うために効果的な活動となるであろう。授業の中に取り入れる工夫をしていく。
 また,ICTの活用も新しい教育ツールとして有効活用をし,わかる授業の創造へとつなげていくために研修を深めていく。

 (4)今日的課題から
 学習指導要領が求める「生きる力」とは,「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の育成によってはぐくまれるものである。その中でも,「確かな学力」を育成するために,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等,論理的思考力をつけていくことが望まれる。児童に「生きる力」をはぐくみ,確かな学力を形成する際に,子どもの言語活動をを重視することは,言語活動を単に国語科だけでなく,全教育活動を通して,すなわち各教科等の学習活動において言語活動を充実させることが求められている。
 また,平成20年の中央教育審議会答申では,授業において,思考力,判断力,表現力などの能力を育てるために,言語活動を充実させていくことは,次の視点から必要であることがあげられている。
 
 @体験から感じ取ったことを表現する
 A事実を正確に理解し伝達する
 B概念・法則・意図などを解釈し,説明したり活用したりする
 C情報を分析・評価し,論述する
 D課題について,構想を立て実践し,評価・改善する
 E互いの考えを伝え合い,自らの考えや集団の考えを発展させる

 言語活動は,各教科等で求められている固有の目標や内容を身につけさせるための手段であり,活動である。各教科の授業において,言語活動を取り入れ充実させることや,言語に関するさまざまな能力を育てていくことは,子どもたちの学力を構成している重要な要素となる,思考力,判断力,表現力などの能力を育むために必要である。
 学習指導要領が唱える「生きる力」をはぐくむことは今日的な課題であり,そのためには,児童の言語活動を充実させ,「確かな学力」を育成していかなければならない。いわゆる知識基盤社会といわれる変動の激しい現代社会をたくましく生きていくために「生きる力」は必要不可欠な教育課題である。これらのことに鑑み,本主題を設定した。
研究内容 (1)授業研究部会
 @ 思考力,判断力,表現力等を高めるために「書く」活動を取り入れた有効な指導過程の構築を
   図る。(一人一実践・研究授業)
  ア 年間指導計画の見通しのもと,その単元でどの指導事項を取り上げるのか,児童の実態に
    即して,どの指導事項のどこに重点を置くのかを明確にする。そのうえで,そのような能力を
    育成するのに最適な言語活動を,「言語活動の充実に関する指導事例集」 (文部科学省)を
    参考にして授業実践をする。その際,授業の過程の中で「書く」活動を入れるようにする。
 
  イ 一時間の授業の足跡や,児童の思考の手がかりとなり得るための効果的な板書の工夫と
    連動したノート指導のあり方について研究をする。

  ウ NIE 新聞を活用した授業実践
    ・新聞活用の実践の可能性を探り,工夫した授業実践をする。

  エ ICT活用
    ・ICTの活用をした授業についての研究をし,力量を高める。

  オ 「一人一実践」の取り組み
    ・県下小中学校の教員が,担任している学級や担当している教科の授業の振り返りと,
     児童生徒の学力状況の把握から授業のあり方を見つめ直し,児童生徒の更なる
     学力の向上を図るために「授業改善プラン」を参考にしつつ,授業を深化・改善する。

 A 学習評価を工夫改善することにより,設定した言語活動をとおして目標やねらい及び
    論理的思考力がまったどうかを具体的に把握できるようにする。

 B 初任者研修との関わり

(2)学習環境整備部会
 @ 言語環境の整備をする。
 A 学年の活動の様子がわかるような掲示物を作成する。
 B おたよりや掲示・展示による保健安全や食育,読書教育の啓発活動をする。
 C 脳トレコーナー等,学習とのつながりをもった掲示物を作り,児童の興味関心の向上に努める。

(3)確かな学力を育成する手だてを取り入れた日常的な実践

  ○ 学習全般
    ・家庭学習の工夫
    ・家庭学習取り組み週間の設定(月初め・学期初め・学期2回)→今年度検討
    ・話形をもとにした伝え合う学習
    ・学び合う場の設定(ペア・少人数・全体)
    ・朝学習の充実
    ・朝のスピーチ
    ・基礎的な知識・技能を明確にし確実に定着させる指導
    ・習得した知識・技能を活用する場面を設定した授業

  ○ 国語科
    ・書く活動の日常化
    ・辞書の活用
    ・詩の朗読暗唱

  ○ 算数科
    ・問題解決型の学習過程
    ・問題解決の仕方にあったノート指導
    ・ホワイトボードの活用

(4)学力向上プロジェクト
    ・一人一実践
      授業公開・・・誰でも行けるときに,優れた実践にお互いに学び合う。
    ・一校一実践

(5)その他
    ・特別支援教育学習会
    ・教育課程説明会環流報告会
    ・全国学力状況調査の分析,結果報告
    ・外国語活動,道徳等 各種研修環流研修 等